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仇花
我が家には銀塩時代の古レンズがごろごろ転がっています。どれもこれも安物で珍品というほどのものはありませんが、中でも使用頻度が高いのは意外にも銀塩APS用のIX-Nikkor30-60ミリです。「銀塩からデジタルに橋渡しをした規格」と紹介すれば聞こえもいいですが、実のところ銀塩APSは過渡期の仇花のような存在。現在、中古市場でAPS規格の銀塩カメラ(写真下)はほぼ無価値といっても過言ではありません。この規格が登場したのが例のバブル期というのも、どこか因縁めいています。



さて、愛用のIX-Nikkorはニコン伝統のFマウントを採用していながら、そのままではAPSプロネア・シリーズ以外のニコン一眼レフに装着できないようになっています。下の画像の通り、レンズ後端が飛び出しており、これがミラーにぶつかってしまうのです。この出っ張りを削るか外すかすればDX(APS-Cサイズ)はもちろんのこと、FX(フルサイズ)の同社デジタル一眼に使えますが、写りは良好といっても所詮は廉価なレンズ。手間暇かけて改造する価値があるかどうかは微妙でしょうね。



もっとも、マウントアダプタをかましてM3/4規格のミラーレスに取り付ける分には、出っ張りの干渉を心配する必要などありません。しかも、このレンズは最短撮影距離が35 センチと結構寄れます。M3/4で使うと焦点距離は35ミリフルサイズでいう60-120ミリの中望遠に相当しますから、簡易マクロレンズとして活用できるわけです(目下の悩みは望遠ズームの60-180ミリを買うべきかどうか)。

ただ、問題もあります。IX-Nikkorは絞り環が省略されており、ボディ側で絞り値をコントロールする仕組みになっています。マウントアダプタをかましてそのまま取り付ると絞りは最小値に設定されるため、これを可変させるには工夫しなくてはなりません。そこで絞りレバーの隙間にゴム片を差し込んでみました。

こんな感じです。完全電子制御じゃないからこそ可能な方法といえますね。




こうすることにより、絞り羽根は開放から最小に絞った状態まで手動で自由に設定できます。ただし、絞り値を変えるためにはレンズをいちいちボディから外し、レバーを指先で突いて動かす必要があります。面倒ですが、じっくり腰を据えて撮る場合はこれも「作法」の範囲内でしょう。

このレンズの購入価格はボディにストラップ、説明書、前後キャップが付いて540円也(税込)。APSフィルムは既に生産が中止となっているため、ボディ本体とセットにしても使い道はありませんが、マウントアダプタを使ってミラーレスに付けたことで現役復帰を果たしたわけです。めでたし、めでたし。

下は、この仇花レンズで撮ったダリアになります(装着したボディはパナソニックのLumix GH3)。1枚目が焦点距離30ミリ、2枚目が60ミリでいちばん寄った写真です。ちょっとブレてますけど、撮りに出かけた時間帯が夕方だったのでご容赦を。





銀塩のAPS一眼としてはミノルタのVECTISシリーズもあります。しかし、専用交換レンズはフルサイズ用のMC/MDマウントやαマウントとは異なるVマウントを採用しており、変換アダプタの市販品も見当たりません。ミノルタが20年ほど前に発売したレンズ交換式デジタル一眼レフのディマージュRD3000がどうやらVマウントらしいのですが、この完動品を手に入れるのはかなり難しいと思われます。しかもたったの270万画素機ですから、Vマウントレンズ使いたさに買う人もいないでしょう。

また、同じころにキヤノンはAPS規格のIXEシリーズを展開しており、こちらのレンズはEFレンズと同じように使えるようですが、私自身はAシリーズ以降のキヤノンのカメラやレンズと縁が薄く、試そうと思ったことさえありません(絞り環のないEFレンズをM3/4に装着するアダプタは露出機構組み込み型でちょっとばかりお高い上、その対価を払ってまで取り付けたいEFレンズが手元にないため)。